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ナトリウム・イオン電池は電池ゲームで先行できる

Sodium-Ion Batteries Can Get Ahead in the Power Game

The Engineer    2020.07.24

 

ナトリウム・イオン電池の製造により国は低コスト、低リスクでエネルギー安全保障の所有権をエネルギー・サプライ・チェーンに持ち込める、とファラディオン社CEOのジェームス・クインは言う。

 

 車輪の発明後、人間の輸送の選択肢は4,000年間ほとんど進化しなかった。内燃機関の登場により全てが変わった。規則的な小さな発明にもかかわらず、内燃機関の基本と鉛蓄電池への依存は1890年代から今日まで変わらなかった。1970年代に競合他社が出現し始め、革新の10年間で、1985年に最初の実行可能なリチウム・イオン電池が出てきた。

 リチウム・イオン電池の利点は電極を破壊する化学反応に基づかないことであり、リチウム・イオンが陰極と陽極の間を行き来する。リチウム・イオン電池は1991年に初めて市場に参入して以来、我々の生活に革命をもたらした。鉛蓄電池は低コストである一方で、鉛に依存しているため性能も低い。電気自動車の主要コストは電池の費用であり、ブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンスによると、2016年以来リチウム・イオン電池価格が24%を占めてきた。同時に、エネルギー密度は年間5 – 8%の割合で増加している。

 

イギリスの電池ブームをパワーアップ

 しかし、今日の時点でリチウム・イオン電池はまだ高価で、大きな安定性問題をかかえている。最初の問題は今後数年間で対処される。第二の問題は直ぐに悪化する。要するに今日のリチウム・イオン電池が中期的に安全で実行可能な解決策となるには、単に十分な原材料がない。

 これらの電池は、地球の地殻から抽出するのが難しい有限の金属のみに依存している。これはパンデミックの際にさらされた脆弱なジャストインタイムのグローバルバリューチェーンを見ると、国のエネルギー自立にとって危険である。探査に成功し、新しい鉱山から供給できるように変える時間は現在30年である。非常に楽観的な生産を仮定しても、中期的には供給が不足する。

 

       リチウム・イオン電池は将来世代のためのよりクリーンで持続可能な環境への答えではない。

 

 中国は電池コストの80%以上を占める電池材料のサプライ・チェーンのほとんどを管理している。中国は世界のリチウム製造能力の75%以上を管理しており、そのリチウム供給量はアメリカ合衆国の30倍である。世界のコバルト供給量の72%はコンゴ民主共和国であり、主に中国が所有している。世界が中国への過度な依存から解放されようとしているので(アメリカとインドからの最近の政策転換で特に注目に値する)、リチウム・イオン電池は将来の世代のためのより持続可能な環境についての答えではない。

 リチウム・イオン技術商業科の先駆者の1人であるクリス・ライト博士は2011年にナトリウム・イオンに可能性を見て、ナトリウム・イオン技術を開発し市場の出すためにジェリー・バーカーとファラディオン社を共同設立した。ICMオーストラリアからの最初の主要な注文を発表した後、6月にInfraprime Logistics Technologiesを導入したインドの大型車向けに我々はわずか4週間で120件近くの協力要請があった。

 興奮の理由は4つある。1つは、ナトリウム・イオンが鉛蓄電池の所有コストと一致し、少なくともリチウム・イオンと同等の性能を発揮することが実証されていることである。2つ目は、中国の依存から脱却して自国のサプライ・チェーンに投資する意欲である。3つ目は、ナトリウムが地球の地殻で6番目に多くある元素であるので、欠乏することはない。4つ目は、ナトリウム・イオン電池は0ボルト(エネルギーゼロ)まで放電できるので、リチウム・イオン電池よりも安全である。前駆体材料のコストが安く、コバルトを含まない電池化学の恩恵を受けられ、グラファイト、銅、リチウムも要らない。

 簡単に言えば、ナトリウム・イオン電池の製造により国は低コスト、低リスクでエネルギー安全保障の所有権をエネルギー・サプライ・チェーンに持ち込める。経済は間もなく、持続可能性のニーズを強化するための技術選択に直面する。この競争に「勝つ」技術は価格と有効性だけではなく、サプライ・チェーンの安全性に関する考慮事項にも依存する。