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塩摂取量を減らしても慢性心不全患者の臨床イベントは減少しない

Cutting Salt Intake Does Not Reduce Clinical Events in Patients

 with Chronic Heart Failure

By Harlan M. Krumholz

NEJM Journal Watch   2022.04.04

 

しかし、一部の健康状態の結果は、この集団の低ナトリウム食で改善する可能性がある。

 

 心不全に対する食事介入に関するエビデンスは少なく、研究者達は26ヶ国の6施設でナトリウム-心不全試験を実施するよう促している。彼等はガイドライン指向の心不全治療を受けていた慢性心不全の成人806(年齢の中央値67歳、女性33)をナトリウムの少ない食事(1,500mg/d以下)または通常のケアにランダム化した。主要な複合結果は、心血管関連の入院、心血管関連の救急科への受診、または12ヶ月以内の全死因死亡であった。

 ナトリウム摂取量の中央値(自己報告による評価)は、介入群で2,286 mg/dから1,658 mg/dに減少した。通常ケア群で2,119 mg/dから2,073 mg/dに減少した。12ヶ月の時点で、主要な結果、その構成要素、および6分間歩行検査の結果は、患者のベースライン特性を調整した後でも、低ナトリウム群と通常ケア群の間で有意差はなかった。しかし、低ナトリウム食は生活の質とニューヨーク心臓協会心不全クラスのわずかな改善と関連していた。

 

コメント

 これらの知見は、慢性心不全疾患の臨床イベントのりリスクを減らすための低ナトリウム食介入を支持していない。しかし、いくつかの健康状態の副次的転帰における食事療法のわずかな改善は、患者が食事療法を試してみて、食事療法に従うかどうかにかかわらず害のリスクなしに気分が良くなる場合は食事療法を維持できることを示唆している。自己申告による塩摂取量はベースラインではそれほど高くなく、塩分を減らすことは、高塩摂取量の人々にとってより多くの利益をもたらす可能性がある。また、塩代替物を用いた最近の有望な研究がある。現在の研究では、単純な試験で806人の参加者しか登録するのに長い時間と多くのセンターがかかったので、おそらく低ナトリウム食を試すことさえあまり魅力的ではなかった。