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ナトリウムと健康に関する論文を巡る塩辛い論争

A Salty Controversy over Sodium-and-Health Papers

By Janet Raloff

ScienceNews Nutrition 2006.10.20

 

  公益科学センター(CSPI)はワシントンDCにある啓蒙活動グループ。そのニュースレターNutrition Actionを通して健康と食事との関係に関する最新の結果を提供している。総脂肪、トランス脂肪酸、カロリー、ナトリウムに焦点を置いて加工食品やレストランの食事に対する警告運動も行ってきた。

 ごく最近、グループはIntegrity in Scienceと呼ばれるプログラムを始めた。政府または公的機関によって潜在的な利害の衝突に関する週報を出している。102日にJournal of the American College of Nutrition(JACN)6月号に発表された一括レビュー論文に関係したいくつかの利害対立の兆候をIntegrity in Scienceは取り扱った。その表題はDietary Sodium Intake and Its Relation to Human Health: A Summary of The Evidenceであった。この増補版はInternational Life Sciences Institute(ILSI)から資金援助を受けた。これは非営利財団で、“公衆保健政策決定のために科学的な根拠を強化に熱心な科学者達の世界的なネットワーク”として自称している。

 増補版中の7件の論文は血圧、心臓血管疾患、骨粗鬆症、重要なミネラルであるカリウムの生化学に及ぼす塩の影響を扱っていた。結局、特に塩感受性の人々における高い塩摂取量と血圧上昇との関係は論文によると強いように見えるが、他の健康結果との関係は不明確か、せいぜい弱かった。

 しかし、論文は多くの答えられない疑問を指摘しており、特に減塩が実際に命を救うかどうか、心臓血管疾患を減らすかどうか、生活の質を改善するかどうか、と言うことで、増補版のゲスト編集者アレクザンダー・ロガンが提示している。

 CSPIからの102日のプレス・リリースによると、ジャーナルはこの増補版の準備で多くの失敗をした。それらの中で主な物は:塩摂取量に関する特別な増補が書かれ、塩産業界のコンサルタントによって編集されたことを読者に伝えなかったことである。

特にリリースは次のことを含めた:

  増補論文のほとんどは過剰な塩摂取量の危険性を軽く見て、増補論文中の疑似科学について厳密なレビューをしなかった。

  編集者である医者のロガンは塩産業界のお雇いコンサルタントである。彼はまた産業支援のILSIのナトリウム委員会の科学アドバイザーを勤めている。ILSIは増補論文の資金援助をした。

  ゲスト編集者としてのロガンの選択はILSIのナトリウム委員会によって行われた。委員会のメンバーにはフリトレー、ハインツ、クラフト、プロクターアンドギャンブルが入っていた。CSPIがジャーナルの編集者への手紙で主張したこの問題は、会社の製品の市場性を強化する過剰な塩の使用に依存している全ての会社であること。

  そしていくつかの増補論文は業界のロビー団体である塩協会の元と現コンサルタントによって書かれた。業界と著者との関係を明らかにすることがジャーナルの方針であるのに、この増補論文のどれにもそのような開示はなかった。

そのような主張を具体化する試みで、Science News OnlineCSPIIntegrity in  Scienceスタッフ、JACNの主任編集者、ゲスト編集者ロガン、北アメリカILSI会長、塩協会会長と話した。それらのインタビューはCSPIプレス・リリースが報じているよりも違ったニューアンスを報じている。

ジャーナルは増補の著者による業界との関係を開示することに失敗した。しかし、そのような関係について個人に問い質さないことをJACNは認めている。そのことは著者が業界の財政援助を明白に隠さないことを意味する。さらに、ロガンは支払われて雇用された業界のコンサルタントではなく、増補論文が塩業界の雇用コンサルタントによって書かれたのは数件ではなく、わずかに1件だけである。

 

以下省略