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海水で働く新しいエコ電池

New Eco-Battery That Runs on Seawater

By Ulsan National Institute of Science and Technology

https://phys.org/より  2017.02.09

 

 韓国の蔚山科学技術院(UNIIST)の研究者達は豊富で直ぐに利用できる海水を使った新しい電池を開発するために研究している。UNISTは海水を使って電力を蓄え生産できる新しいタイプの環境に優しい電池を開発するエネルギー部門の公的機関と一緒に研究している。3年間で50億ウォンの研究資金を確保することに成功したことにより、プロジェクトは環境に優しく、費用対効果の高い高安定性海水電池の商品化を促進させることを期待されている。

 このプロジェクトには韓国電力公社(KEPCO)、韓国東西発電株式会社(EWP)、および蔚山科学技術院(UNIIST)が参加している。このプロジェクトのために、KEPKOEWP2019年までに30億ウォンと2018年までに20億ウォンをそれぞれ用意する。UNIIST70億ウォンの政府補助金で2014年以来、海水電池研究を主導してきた。海水電池は電力を発生させるために地球上で6番目に多い元素のナトリウムを使う。これにより、このシステムは既存の電池技術を魅力的に補完する。新しいタイプの海水電池はずっと安く、リチウムよりも環境に優しく、したがって、大規模なエネルギー貯蔵に低コストの道を提供する。さらに、海水使用は熱流体を良好な状態に保つため、発火の危険性も著しく減らせる。

 海水電池は水と塩を除いて補助負荷または外部電源なしに機能する。したがって、家庭または産業用のエネルギー貯蔵システムとして、または大型船舶や原子力発電所用の緊急電力供給として適用できる。海水電池は同様の方法でエネルギーを蓄えられるので、リチウム・イオンの従兄弟と同じである。電池は電気エネルギーを充電すると、海水からナトリウム・イオンを抽出し陽極区画内に蓄える。電気化学的放電時には、ナトリウムが陰極から放出され、海水陽極からの水と酸素と反応して水酸化ナトリウムを作る。この工程は例えば、電気自動車に電力を供給するためのエネルギーを提供する。

 海水電池はリチウム・イオン電池よりも費用対効果が高い一方、商業的流通の準備が整っていない。その理由の一部は、これらの電池は電気出力が比較的低い。この問題を解決するために、UNIISTは電池のより最適化された電池形状と標準化された手順の設計を支援する。KEPKOと共に、UNIISTの研究チームは様々な大きさと形状の電池を作る計画で、それにより電池の充電率が20 Wh向上する。一般的に小さなスマホのリチウム・イオン電池は約10 Whを蓄電している。

 KEPKOの支援でUNIISTは海水電池を大量生産するテスト施設を設立し、同時に電池を接続することで充電率を高める海水電池パックを開発する。2018年までに、合同研究チームは蔚山火力発電所に10 Whの海水電池パックを建設する。10 Wh4人家族が一日に必要とする平均エネルギー量である。

 「この電池が商業化されると、高度なエネルギー貯蔵装置市場で我々は47兆ウォン相当をリードできる。」とUNIISTのエネルギーと化学工学部のYoungsik Kim教授は言っている。「それは我々経済の将来で主要な成長エンジンの1つとなり、新しいエネルギー産業の活性化に寄与する。」

 Youngsik Kim教授は2015年に「4One」と呼ばれるベンチャーを始め、コイン型の海水電池とテスト・キットを生産販売してきた。Kim教授はまた2015年に海水電池のコア材料の1つである固体セラミック電解質合成技術を地元のであるCe&Chem Co. Ltdに移管した。会社は今、年間100,000以上の固体セラミック電解質を生産している。