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無毒の塩水電池のプロトタイプは数秒で充電できる

Non-Toxic Salt Battery Prototype Can Charge in Second

By Imperial College London

https://techexplor.com/ より   2019.03.21

 塩水と無毒で素早く充電できる材料を使ってプロトタイプ電池が設計され、新しいタイプの電池への道を開いた。充電するにつれて色を変える新しいプロトタイプの背景にある設計原理は、エネルギー貯蔵、生物学的感覚、および素早く変色する材料用の新しい装置を作るために既存の電池技術にも応用できる。現在、最も広範囲に使われている電池はリチウム・イオン電池で、比較的高容量であるが、エネルギーを素早く充放電できない。それらは有機電解質と有害で可燃性の他の材料も含んでおり、注意深い取り扱いと廃棄を要することを意味している。インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理化学部の研究チームにより開発された新しいプロトタイプ電池は特別に設計された薄いプラスチック膜と簡単な塩水を使う。

 通常のリチウム・イオン電池よりも充電量は少ないが、プラスチックの長い分子鎖のポリマーで作られたプロトタイプは数秒間で充放電できる。使っている材料の利点に加えて、充電するにつれて色も変わるので、ユーザーは電池の充電状態を容易に読み取れる。Energy & Environmental Scienceに詳細に発表されたプロトタイプは既存電池の充電速度と毒性を改善する道を開き、または全く新しい種類の電池を作る道を提供している。

充電式電池の開発

 インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理化学部でプロジェクトに参加している共同主執筆者のアレクザンダー・ジオバニッティ博士は言った:「プロトタイプ電池を作るために使用した材料は潜在的に低コストで無毒、不燃性の水性電解質の使用と組み合わせて作られている。この方法は充電式電池開発の実行可能な道である。」

 充電時間は早いが低容量の電池はエネルギーを素早く交換する必要があるが、電池を小さくする必要がない様々な応用が考えられる、例えば、自動車ブレーキからのエネルギーはその後の加速するために使われる。上のビデオ(省略)は充放電されているプロトタイプ電池を示している。充電されるにつれて、陽極()は濃い青色から透明になり、一方、陰極()は緑色から褐色を経て鉄鋼の灰色に変わる。

 大規模では、太陽光や風力のような更新できる技術が国または地方の配電網の一部として使われるとき、それらは断続的にのみエネルギーを供給できる。このエネルギーを素早く貯蔵できるが、必要な時に配電網にも返せる電池システムは供給を安定させるのに価値がある。プロトタイプはこれらの分野に適合させるためにもっと研究する必要があるが、設計の背景にある原理は開発中の幅広いエネルギー貯蔵装置に適用できる、とチームは言っている。

新しい材料の設計

 ポリマー材料は柔軟性を与える添加物として、または陽極と陰極を分離する電解質としてこれまで電池で上手く使われてきたが、水の中で操作できる電池電解質の活性な材料としてそれらを使うことは挑戦的であると証明された。劣化することなく塩水から陽イオンと陰イオンを素早く可逆的に取り込み、放出できるポリマー材料の設計でブレークスルーができた。電池が充電されると、これらのイオンは反対に帯電している電極に付着する。水性電池は無毒のために望ましいが、水中のイオンを電極と可逆的に交換することは困難であった。チームは導電性ポリマーの「背骨」に取り付ける側鎖を設計することでこれを回避した。側鎖用にポリマー材料を使うことによって、彼等は水と高い親和性を持った電極を作れた。

 この原理で、彼等は水から反対イオンを取り込める陽極と陰極を作ることができ、-電池用の材料を持っていた。ポリマーの背骨は電池の充放電で膨張・収縮して既に柔軟性であったので、添加物は必要なかった。インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理部で研究を完成させた共同主執筆者のデビッド・モイア博士は言った:「塩水を使用すると、毒性や可燃性の懸念がなくなるが、他の有機電解質と比較して装置に出入りできるエネルギー量が制限される可能性があるため、使いやすさは劣る。」「我々は今、この制限をどこまで押し上げられるかをテストしたいと思う。より安全な材料の組み合わせで性能低下を補ったが、性能改善で安全で持続可能な全く新しいタイプの実行可能なエネルギー貯蔵装置への道が開かれる可能性がある。」