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塩はアレルギー性免疫反応の鍵となる要因であるようだ

Salt Could Be a Key Factor in Allergic Immune Reactions

ScienceDaily

Source: Technical University of Munich   2019.02.20

 

塩はアレルギー性免疫反応に明らかに影響を及ぼす。ミュンヘン工科大学のクリスティナ・ジーリンスキィ教授の研究チームは、塩がTH2細胞の生成を導くことを細胞培養で示した。これらの免疫細胞はアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状に活性である。チームはまた患者の皮膚で上昇した塩濃度を検出した。

 

 工業国ではほぼ3人に1人が生活で何らかの点でアレルギーによって影響を受けている。子供10人のう1人はアトピー性皮膚炎で苦しんでいる。T細胞はこの種の免疫状態で重要な役割を演じている。それらの細胞は感染に対して体の抵抗力の重要な側面であるが、コントロールされなければ、病的な応答を発生させ、我々の体の一部またはアレルギー源などの無害な物質を攻撃しはじめる。

 その様な機能が発生したとき、T細胞のサブグループであるTh2細胞はアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚状態を引き起こす。これはタンパク質インターロイキン-4(IL-4)とインターロイキン-13の増加した生産を含んでいる。何が機能不全を引き起こす信号の引き金を引くのかまだ分らない。

 

ナトリウム・イオンの影響下にあるより多くのTh2細胞

 塩化ナトリウムとして科学的に知られている食卓塩はヒトや動物の健康に対して必須である。体内ではナトリウム・イオンと塩化物イオンの形で存在する。最近の研究で、ミュンヘン工科大学ウィルス研究所のドイツ感染症研究センターのクリスティナ・ジーリンスキィ教授と彼女のチームは、塩化ナトリウムは細胞にIL-4IL-13タンパク質の生産量を増加させるヒトT細胞に状態を誘発させられることを示すことができた。

 アレルギーを引き起こさない種類のT細胞は塩の存在下でTh2細胞に変わる。T細胞が再び低濃度の塩にさらされると、その変化は逆転される。「結果的に、イオン信号はTh2細胞の発生とコントロールで役割を演じている。」とクリスティナ・ジーリンスキィは言う。

 

アトピー性皮膚炎患者の皮膚の塩分濃度は非常に高い

 皮膚科学分野の医学専門家としてジーリンスキィはアトピー性皮膚炎に自然に関心を持っている。彼女のチームはアトピー性皮膚炎患者の影響を受けた皮膚領域が高い塩分濃度を示すかどうかを調査した。「組織のナトリウム濃度測定は複雑である。」と研究筆頭者のジュリア・マティアスは説明する。「血液中に溶けた塩は標準的な臨床法を使って測定される。しかし、皮膚については、我々は核化学と物理の仲間の援助を必要とする。」皮膚試料をミュンヘン工科大学の研究ニュートロン源ハインツ・メイヤーライプニッツとマインツ大学の核化学研究所で中性子活性化分析によって彼等はテストした。アトピー性皮膚炎患者の影響を受けた皮膚領域のナトリウム濃度は健常な皮膚におけるよりも30倍も高いことが証明された。

 

塩分条件下で繁殖する細菌にとっての理想的な条件

 「影響を受けた皮膚の比較的高いナトリウム濃度はアトピー性皮膚炎の他の特性とほぼ一致する。」とクリスティナ・ジーリンスキィは言う。「この状態の患者は皮膚上の黄色ブドウ球菌濃度を上昇させていることがしばしば知られていた。これらは塩分条件下で繁殖する細菌で--対照的に他の共生細菌は塩によって実際に害を受ける。」他の結果と現在の研究結果に沿ったこの洞察は塩とアトピー性皮膚炎の発症との関連の証拠となるとジーリンスキーは信じている。

 「しかし、これらの大量の塩がどの様にして皮膚に到達するかを我々はまだ示せない。」と彼女は認めている。「この理由のために、減塩食や高塩食がアトピー性皮膚炎やその他のアレルギー状態の出現と進行にどのように関連しているかについても確信がない。」ジーリンスキー教授と彼女のチームは将来の学際的な研究でこれらと他の疑問に答えたいと思っている。